1.中国では口コミが重視されている
中国といえば、口コミを重要視する傾向があるといわれています。日本人でも、ものを買うときにはまずネット上の情報を確認してから買うという習慣がついてきていますが、中国人のそれとは比べ物にならないといわれます。
「旅行」を例にして調査データから中国の口コミ重視の傾向をみていきましょう。
Expedia Media Solutionsが2017年に実施した「ASIA PACIFIC TRAVEL TRENDS 2017」という調査によると、「旅行を予約する際に意思決定プロセスに影響を与えたり影響を与えたりする要因はどれですか?」の問いに対し、「ネット上での家族、友だち」という答えが日本は15%となっていましたが、中国では50%にものぼっていました。日本人が思っている以上に、中国人にとってネット上の口コミが重要であることがわかります。
また、中国で多く日本で少ないものに「ソーシャルメディア」「オンラインニュース」「オンラインビデオ」「オンライン広告コンテンツ」がありました。
「オンライン広告コンテンツ」については、中国で19%となっているのに対し、オーストラリアは12%、日本は8%となっていました。このことから、中国の一般消費者は企業からの広告も軽視していないということもわかります。
2.中国で口コミが重要な理由
中国でここまで口コミが重視される背景として、筆頭に挙げられるのは、中国の国内企業が起こした食品汚染問題への不信感、自国ECサイトにおける偽物の流通などです。そのため、利用・購入の経験ある人の体験談・評価、いわゆる口コミ、が重要情報源になるのもおかしくないです。
また、中国では家族や身近な仲間のグループの結束が非常に強く、その意識が家族やグループ以外の情報に対する不信感を助長させているという説もあります。家族や仲間うちでの情報だけを信じる傾向があることから、その分、それ以外の情報の取り扱いには非常に慎重になります。また、情報の信頼性については、企業からの直接発信される情報よりも、他グループで盛り上がっている口コミのほうが興味深いと考えられています。
国民性については確かなことはいえませんが、日本人が思うよりもずっと口コミが重要ととらえられていることは、あらゆる調査結果からも知ることができます。
3.中国口コミマーケティングの手法
中国で何かを販売する場合、もしくは訪日中国人を集客したい場合には、口コミマーケティングは非常に有効であり、欠かせない手法です。その中国口コミマーケティングの手法として代表的なものをご紹介します。
3-1.SNS公式アカウントで情報発信、拡散を狙う
中国で爆発的な人気を誇るSNSであるWeChat(微信・ウィーチャット)などで企業公式アカウントを開設し、そこから情報発信していく方法です。情報共有されれば、口コミとしてシェアされ、拡散させていくことができます。日本企業もすでにうまく口コミを活用して成功させている事例も多くあります。
【参考】
3-2.ネットインフルエンサーを活用して口コミ拡散する
中国にもネットインフルエンサーは存在します。「網紅(ワンホン)」と呼ばれる存在です。芸能人ほどの知名度はないものの、ネット上でSNS、ブログ、動画などを通じて情報発信しており、独自のファンやフォロワーを持ち、情報を投稿すればたちまち情報が広く拡散していく存在のことです。彼らのような人に自社製品を試してもらい、情報拡散してもらうインフルエンサーマーケティングも王道になっています。
3-3.口コミメディア活用
中国では口コミメディアが広がっています。中国人は家族や身近な友人、SNS上の友人の口コミだけではなく、口コミサイトをチェックして買う物や行く店、旅行計画などを立てるといわれています。
例えば、化粧品や日用品の巨大な口コミサイト「kimiss」というサイトでは、企業がモニターに対してサンプリングを実施し、サイト上で体験談を口コミとして紹介してもらう仕組みが作られています。このサイトは中国の大手検索エンジン「百度」でも上位に入りやすいサイトであることから、SEO効果もあり、口コミ拡散が期待できます。
4.まとめ
中国における口コミは、日本人が思っている以上に重要であるようです。特徴をよく理解して、口コミマーケティングを実施していきましょう。